たつみのまど その2

たつみのまど とは

鋳物素人編集者 なかむら が社員のみんなにインタビューして鋳物や辰巳工業について知っていくコーナーです。だいたい月1回の更新予定です。

どうも新人編集者なかむらです。 今回のインタビューしてみる人は松村さんです。松村さんの担当している作業について聞いてみました。

なかむら

松村さん、今回は担当作業について教えてもらえるとのことで、よろしくお願いします。

松村

よろしくお願いします。

なかむら

さっそくですが、松村さんが担当されている作業は何ですか?

松村

私が担当しているのは「被せ前」と呼ばれる工程です。被せ前とは、木型から型を取った鋳型に中子を設置して鋳型を合わせて、溶かした金属を流し込むというものです。

なかむら

その、「中子(なかご)」というのは何ですか?

松村

中子というのは鋳型の一種で、中に空洞がある鋳物を作る際にメインになる鋳型の空洞にしたい部分に設置するものです。設置した所が中子がある分、溶かした金属が流れ込まないので完成時に空洞になります。

なかむら

ほうほう。

松村

被せ前の作業を始めたばかりの頃で一番苦労したのが、完成品である製品の形がよく分からない、というところなんです。

なかむら

どういう事でしょうか?

松村

実は被せ前に回ってくる鋳型は木型や完成品とは真反対、鏡写しの逆さまなんです。製品で凹む部分は鋳型では出っ張り、鋳型では何もない空洞部分がそのまま製品の形になります。もちろん、製品に入るメーカーロゴやマーク、数字や文字も全部反転しています。まるで写真のネガチブや判子に掘られた文字を見ているようです。

なかむら

全て逆さま!それは頭が混乱しますね…

松村

今でこそ鋳型を見ただけである程度の形が頭に浮かんでくるようになりましたが、当時は鏡の世界で散々迷いました。しかし、完成した製品をよく観察して、さらに鋳型と見比べて…と頭の中に叩き込むことを繰り返していくうちに、自然と形が分かってくるようになったんです。

なかむら

さすが職人。

松村

まぁ、今でもたまに迷ってしまうほどへんてこな製品を見ることもあるので、「被せ前」という作業は単純なようで実に奥が深いものだと思います。

なかむら

なるほど。長く作業をしていてもまだまだ知らないことはあるものなんですね。松村さん、お話ありがとうございました。「被せ前」の難しさや面白みがとても伝わってきました。鋳物を形作る重要な作業なのですね。これからも頑張ってください!

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